2017年6月20日 日本共産党区議会議員 小栗智恵子
議案第28号、中央区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例について反対意見を述べます。
本条例案は、「精神通院医療費の助成に関する事務」及び「結核患者の医療費助成に関する事務」が都条例の施行により個人番号を利用する事務とされたことに伴い、区において庁内連携により申請に必要な課税証明書の提出を省略することで、区民の負担軽減を図るとしています。これによって精神通院医療費や結核患者の医療費助成に関わって、本人や扶養義務者の所得など地方税の情報や、生活保護に関する情報、中国残留邦人等支援給付の支給に関する「特定個人情報」が一元的に管理されることになります。
「行政手続における特定の個人を識別するための番号」いわゆる「マイナンバー」制度は、徴税強化と社会保障給付抑制を目的に、国が国民の情報を厳格に掌握することを狙った仕組みです。個人情報がマイナンバー制度によって一元的に管理され利用されることは行政事務にとっては効率性が高まりますが、憲法の人権保障に係わる個人情報が集積され、ひとたび流出したり悪用されたりすれば、甚大なプライバシー侵害や「なりすまし」などの犯罪の危険性を飛躍的に高めることになります。
マイナンバー制度が本格的に始まってから1年以上経過しているのに、圧倒的多数の国民に制度が認知されず、普及は立ち遅れています。通知カードを受け取っていない人は全国で100万人以上いるとみられ、中央区でも届いていない通知カードが4000弱あるとのことです。また、全国で、1000件単位でマイナンバー情報がもれた自治体があったといわれています。
本年5月、全国の自治体が同カードの発行業務・データ保存を委託している地方公共団体情報システム機構・JLISから、マイナンバーカードの申し込みに使う個人情報と顔写真データが、警察の求めに応じ提供され捜査に利用されていることが明らかになりました。マイナンバーカード情報と警察捜査がリンクすると恐ろしい監視社会になる危険性があります。
マイナンバーカードの申請も頭打ちで、5月時点のカード保持者は全国で、対象者(約1億2800万人)の9%、中央区では11.8%とのことです。
国民が、政府のいう「利便性」を感じるどころか、情報の漏えいや国による個人情報の管理強化に根強い不信と危険を抱くのも当然です。
マイナンバーカードを交付する際のシステム障害も相次いでいます。個人情報を守るために、制度の検証と見直しを行い、不要で危ういマイナンバー制度の仕組みをやめるべきです。
日本共産党区議団は、マイナンバー制度の法律に基づく条例制定(15年9月)に反対し、その適用を拡大する条例改正(16年6月重度心身障害者手当支給・11月難病患者福祉手当)にも反対しました。
本議案も、精神通院医療費助成や結核患者の医療費助成を利用する本人や扶養義務者に適用を拡大するものであり、賛成できません。
以上の理由により、日本共産党中央区議会議員団は議案第28号に反対します