2016年11月29日 日本共産党中央区議会議員 加藤 博司
日本共産党中央区議会議員団を代表して「議案第70号中央区行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例」について反対意見を述べます。
本条例改定案の説明では、国機関である「個人情報保護委員会が、難病患者医療費助成に類似する事務を外部連携の対象としたことから、難病患者福祉手当の支給に関する事務を個人番号利用事務に追加し、地方税関係情報の庁内連携及び外部連携により受給資格の認定申請等に係る課税証明書の提出を省略することで、区民の負担軽減を図る」としていますが、このことによって,難病患者福祉手当の申請に必要な医療受給者証、本人や扶養義務者の所得などの個人情報が特定個人情報として一元的に管理されることになり問題です。
マイナンバー制度は徴税強化と社会保障給付抑制を目的に、国が国民の情報を厳格に掌握することを狙った仕組みです。国民を監視する手段にされかねないことへの不安の声も強まっています。マイナンバー制度によって収集され、利用される個人情報は、区民にとっての利便性や行政事務にとっての効率性というだけにとどまらない、憲法の人権保障に係る個人情報漏えいやプライバシー権を侵害するなど看過できない問題があります。
日本共産党区議団は、マイナンバー制度によって、大量の個人情報を一元的に管理することによる漏えいについて「ひとたび流出したり、悪用されたりすれば、甚大なプライバシー侵害や『なりすまし』等の犯罪の危険性を飛躍的に高めることになる」として条例制定に反対しました。
さらに、今年1月から、希望者に対してマイナンバーなどを記したプラスチック製の「個人番号カード」の交付が区市町村で始まりましたが、こちらもトラブルの連続です。カード発行を全国的に管理するシステムがたびたび停止し、発行に重大な支障が生じました。中央区においても、マインナンバーカードの発行が8ヶ月経過しても、区民の1割以下という現実は、区民はマイナンバーカードを必要としていないことではないでしょうか。
政府は、トラブルは解消しているといいますが、多くの税金を投じたシステムが開始早々不調に陥ったことは、個人情報を扱う制度の安全性と信頼性を根本から疑わせるものです。
以上の理由により、日本共産党中央区議会議員団は「議案70号」に反対します。