20160623
2016年6月23日 奥村暁子
「議案第43号 平成28年度中央区一般会計補正予算」に対する反対意見を述べます。
今回の補正予算に含まれる「情報システムセキュリティ対策の強化」は、個人情報流出を防ぐために絶えず多額の予算が費やされることを示しており、マイナンバー制度自体の欠陥といえます。既にマイナンバー制度の運用が始まっているもとでのセキュリティ対策は必要なものとして認めざるを得ませんが、国は欠陥だらけのマイナンバー制度を中止・凍結し、廃止へむけた検討をすべきです。
また、「水谷橋公園内保育所の整備」については、喫緊の課題である待機児童解消のためには、やむを得ないと考えますが、公園整備にあたっては禁煙場所とし、緑の少ない中央区だからこそ、近隣住民や勤労者にとって安らぎの空間となる整備計画とすることを求めます。
問題は、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた海外視察」です。
パリ市では、多言語対応や舟運施策、Wifi整備、観光客やボランティアの受け入れ環境などを視察するとのことですが、多言語対応などは、我が党が委員会で紹介した台東区での先進例など、国内の他自治体を参考にすればよく、パリ市に直接行かなければ知りえない特別なシステム等があるとは、到底思えません。
テロ対策など、まちの安全・安心の取組や、パリ市で開催されるサッカーヨーロッパ選手権のパブリックビューイングなども視察するとのことですが、こうした取組みは、どれも、主体的に動くべきは東京都や警察です。
ロンドン市では、2012年のロンドン五輪後の再開発事業について視察するといいますが、中央区としては、既に「豊晴計画」や「晴海地区将来ビジョン」で今後の方向性は示しており、それを元に、東京都に対しての要望もあげられています。
ロンドン市での大会後の再開発事業については、インターネット上で様々な団体、個人が様々なサイトで、豊富に情報公開していることから考えても、現地視察の必要性は見出せません。
また、既に、2015年3月に、区は、みずほ総研株式会社に委託し、調査員がロンドンへ赴いた視察内容は「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会実施に伴う影響等調査報告書」にまとめています。約1300万円の予算をかけて策定された、この報告書の意義も問われます。
パリ市が2015年11月のテロ以降、緊急事態宣言を出していること、視察日程期間中はサッカーヨーロッパ選手権とツール・ド・フランスの開催が重なっており、イスラムの断食月ラマダンの最中でもあることから、外務省はテロに対する注意喚起を促していること、さらに6月3日の洪水被害もあったばかりで、なぜ、この時期に緊急に視察をすることにしたのか理解できません。
区は、昨年12月に「中央区オリンピック・パラリンピック区民協議会」を設立し、今年3月には「観光・文化検討部会」が設置されました。「検討部会」の役割は「2020年に向けた地域課題の把握と整理を行い、取組みの具体化を検討する」とされており、今、必要なことは、パリ市、ロンドン市の視察よりも、足元の中央区民の意見を幅広く聞いて、施策に生かすことです。
都議会では舛添氏の豪華海外出張問題を発端に「政治とカネ」をめぐる問題で都知事の辞職が決まりました。
こうした中、今回の「海外視察」の提案は、6月6日に企画総務委員会で第二回定例会の予定議案として説明され、正式には6月20日の本会議に提出、今日審議され、明日の本会議で議決し、7月1日の定例会終了直後の7月3日に出発するというものです。本計画について、「区民からの批判の声が広がらないうちに実行するものとしかみえない」という声も出ています。これでは、区民の信頼が損なわれると考えます。
視察の必要性や経費、タイミングなど、あらゆる面から見て、到底、区民の理解は得られないこの計画は中止すべきです。
以上の理由で、日本共産党中央区議会議員団は、「議案第43号 平成28年度中央区一般会計補正予算」に反対します。