2016年6月22日

2016年中央区議会第二回定例会 一般質問

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

【質問項目】

  1. 憲法問題について
  2. 保育所問題について
  3. 熊本地震をふまえたまちづくりについて
  4. 築地市場「移転」問題について
  5. パリ・ロンドンへの海外視察について

区長(矢田美英区長)答弁
小栗智恵子議員 再質問
区長(矢田美英区長)答弁
小栗智恵子議員 再々質問

日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議団を代表して質問します。積極的なご答弁を期待します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

1.憲法問題について

 はじめに、憲法問題について質問します。
 今日公示された参議院選挙でも、憲法問題は大きな争点です。
 安倍内閣は、昨年9月、国民多数の反対の意思も、8割の国民の「審議が不十分」という声も、9割以上の憲法学者の「憲法違反」との厳しい指摘も無視し、中央区議会が9月16日に全会派一致で提出した「安全保障関連法案の丁寧かつ具体的な議論を求める意見書」も全く無視して、その3日後の19日に安保法制を強行しました。
 そして、その後安倍首相は「憲法学者の7割が自衛隊を違憲だといっている。9条2項をそのままにしておくことこそ立憲主義の空洞化だ」として、今年の年初から、参院選挙で改憲を争点化する姿勢を示してきました。そして9条2項の改定に言及し、明文改憲を「在任中に成し遂げたい」と参院予算委員会で発言しています。
 安倍首相がめざす改憲はどういう内容でしょうか。いくつかの重大な項目に絞って、区長の見解を伺います。
 2012年4月27日に自民党が決定した「日本国憲法改正草案」(改憲案)は、戦力の不保持や交戦権の否認を定めた現在の憲法第9条2項を削除して、「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」と明記し、「国防軍は、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動を行うことができる」と全面的に変えています。
 そこでお聞きします。改憲案は、「国際的協調」の名の下に、海外での武力行使を可能にするものだと考えますが、いかがですか。
 第2に、改憲案第98条で、現憲法にはない「緊急事態」条項を明記し、内閣総理大臣が「緊急事態を宣言」すれば、内閣が立法権を行使し、「法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」としています。
 これは、国民の基本的人権を停止することができる、事実上の「戒厳令」を可能にするものだと考えますが、いかがですか。
 第3に、現憲法の第12条「国民の責務」を、改憲案では「常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う」と変更しています。現憲法97条が「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」とうたった条文は、丸ごと削除されています。
 これでは、「公益及び公の秩序」の名で基本的人権を制限できる仕組みに変えてしまうことになると考えますが、いかがですか。
 第4に、改憲案92条1項は、「地方自治は…住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う」と規定し、同93条3項では「国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力」するとしました。地方自治が果たす役割を「身近な行政」と割り切り、国と地方の「役割分担」を強調しています。身近な行政は地方が「自立的」に行うと規定し、社会保障を地方が担うものとし、国に頼らず地方同士で協力して行うよう求めています。
 これは、生存権・社会保障の第一の責任を負うべき国の役割を放棄するものであると考えますが、いかがですか。
 第5に、自民党改憲案は、全体として、「憲法によって権力を縛る」という立憲主義を否定し、「憲法によって国民を縛る」ものに大変質させてしまうものだと考えますが、いかがですか。
 それぞれ、ご見解をお聞かせください。
 現行の日本国憲法は、世界でも最先端といえる先駆的な内容を持っています。特に現憲法には、政治的権利とともに、生存権、働く権利などの経済的権利も含め、30条にわたる豊かで先駆的な人権規定が明記されています。
 特に憲法9条は、恒久平和主義を徹底した世界に誇る宝です。
 日本共産党区議団は、毎年「区民アンケート」に取り組んでいますが、今年のアンケートには、「安保関連法は危険すぎる、戦争は絶対反対!!」という声や「『ペンは剣よりも強し』、武力を使えるようにするのでなく、武力を使わず他国と平和を創るアイデアに注力すべき。力でねじ伏せるやり方は今後通用しない」などの声が寄せられています。集計では、憲法9条の「戦争の放棄」については、「守るべき72%・変えるべき12%・わからない8%」、安保法制(戦争法)を廃止すべきと思うかどうかについては、「思う64%・思わない17%・どちらでもない13%」となっています。
 「朝日新聞」が3~4月に実施した世論調査では、憲法9条については「変えない方がよい」が昨年の63%から68%に増加、「変える方がよい」は27%でした。憲法自体についても「変える必要はない」が昨年3月調査の48%から55%に増加。「変える必要がある」は昨年の43%から37%に減少しました。
 そこで質問します。憲法は変えない方がよいという声が増加し、多数となっている状況をどう受け止めますか。また、憲法9条は1項も2項も変えるべきではないと考えますが、いかがですか。ご答弁ください。

2.保育所問題について

 次の質問は、保育所問題です。
 3月11日、日本橋にある認可外保育施設で、1歳2カ月の男の子が死亡する事故がおきました。その施設は、アルファコーポレーションが運営する「キッズスクウェア日本橋室町」という事業所内保育所で、発見された時うつぶせ寝の状態でした。
 4月21日の福祉保健委員会で、この事故の報告とともに保育施設における睡眠中の安全管理の徹底について報告がありました。
 この問題について、委員会の報告を載せた私のブログを見て、亡くなった男の子のご両親から「施設側の対応があまりに不誠実だ」という相談メールが届き、亡くなった男の子の母親にお会いして、直接お話を伺いました。
 母親は、朝元気だった息子がなぜ急にこんな姿になったのか、施設側に説明を求め、キッズスクウェアの職員にもその日の子どもの様子を詳しく聞きとりしたそうです。その内容を詳しく伺い、どうしてこうした事故が起きたのか、何が問題でどう教訓にすべきか考えていくことが大切だと痛感し、この場で質問させていただきます。
 亡くなった男の子の母親は、育児休業を終え、3月からの仕事復帰に備え、地元近くの認可保育所6カ所に申し込みましたが、全て入れませんでした。仕方なく、勤務先の会社が共同で経営する「キッズスクエア日本橋室町」に預けることを決め、2月から慣らし保育をはじめたばかりでした。
 3月11日、その日の担当の保育者が、10時45分に昼食を食べ終わった男の子を、11時25分ごろからうつ伏せで背中をさすって寝かしつけ、男の子が眠ったあと、窓ふきや部屋の掃除など他の作業をして異変に気付かず、2時過ぎてもなかなか起きてこないので、別の保育者が様子を見に行くと、名前を呼んでも反応がなく、顔の左側が赤紫色で、手は冷たくなっていたとのことです。その日午後休みを取っていた母親が2時20分に迎えに行ったところ、保育士に抱きかかえられた男の子の目はうつろでぐったりしていて、誰も救命措置をしていなかったため、自分が急いで人口呼吸をしたそうです。その後救急車で運ばれましたが病院で死亡が確認されました。
 その日、男の子を担当したのは、施設をかけもちしていて月に1、2度しかこの園に来ていない非常勤の職員で、施設長の指示で男の子をうつぶせ寝にして、他の子どもが寝ている午睡室と別の部屋で一人で寝かされていたそうです。担当した職員も他の職員も、お昼寝中一度も顔や呼吸の確認をしていなかったことがわかりました。
 母親は「家では1度もうつぶせ寝させたことはないのに、保育所ではうつぶせ寝のまま放置されていたのはどうしてなのか」「こうした悲しい事故がくり返されないようにしてほしい」と悲痛な思いを語っていました。
 そこで質問します。このような事故はあってはならないことだと思いますが、いかがですか。この施設の保育体制や事故の際の対応には問題があると考えますが、いかがですか。
 今回の事故について、東京都が立ち入り調査をした結果、施設に対し「乳幼児突然死症候群の予防策が不十分なので是正すること」という通知を出しています。
 うつぶせ寝は危険なのに、それがこの施設では徹底されていませんでした。すでに国は保育指針で、乳幼児のうつぶせ寝は窒息死などにつながることから避けるべきだと明記しています。東京都の指針では、睡眠中は10分おきに呼吸を確認するよう定めています。
 そこで質問します。区では、この事故を受け、区内の認可保育所、認証保育所、小規模保育所などに「安全管理の徹底について」通達を出していますが、その他の、ベビーホテル12カ所、事業所内保育所9カ所など認可外の保育施設26か所についても、東京都と連携して、指導の徹底を図る必要があると考えます。お答えください。
 また、中央区では、日常的に、区が認可している施設に対して、適切な保育がなされているか巡回指導を実施し、成果をあげているとのことです。こうした指導が認可外保育施設にも必要だと考えますが、ご答弁ください。
 内閣府の調査によると、全国の保育所などで2015年度に627件の事故が起き、死亡事故が14人、そのうち10件は、認可外施設で起きています。睡眠中が10件で、うち6人がうつぶせ状態で、すべて認可外施設での事故でした。死亡事故の比率は、認可外と認可で、子ども一人あたりに直すと認可外が60倍高い(京都華頂大学・藤井伸生教授)といわれています。
 保育施設などで乳幼児を事故により亡くしたり、重度障害を負ったりした遺族・家族とそれを支援する弁護士の会「赤ちゃんの急死を考える会」の調査では、1962年から2008年に起きた保育施設における死亡事故240件のうち、認可外保育施設での事故が全体の85%を占めています。他方、認可保育所では2000年までの40年間で死亡事故は15件でしたが、規制が緩和されて保育事業に企業が参入できるようになった2001年以降の8年間で22件と大幅に増加していることが判明しました。
 「赤ちゃんの急死を考える会」は、事故内容の分析から、「狭い部屋にたくさんの乳幼児が詰め込まれ、人出不足の中で資格もない職員や忙しくて疲れ果てた保育士らが、本来すべき業務を長時間にわたって放棄しているために発生していることが歴然としている」と告発しています。
 そこで質問します。全国的に保育所での重大事故が増加している状況について、どうお考えですか。また、「赤ちゃんの急死を考える会」は、事故防止のために、ゆとりのある施設や保育士の適正な配置など保育環境の改善を求めていますが、区長のご見解を伺います。
 安倍政権は、待機児童対策として2017年度末までに保育の受け皿を40万人から50万人に、10万人分上積みする計画を打ち出しましたが、そのうち5万人分を「企業主導型保育」で確保するとしています。
 「企業主導型保育」は子ども子育て支援法「改定」で、今年度から新たに導入されたものですが、保育基準は「定員19人以下の小規模型保育B型」とし、職員の半数に保育士を配置すればよく、園庭と調理室の設置義務もありません。都道府県に届け出だけで開設でき、施設と親との直接契約の無認可施設となります。パートタイム勤務や土日・夜間勤務の「多様な働き方に対応する」として、「24時間サービス」や「一時預かり」をおこなう施設を支援するとして、運営費や整備費の助成制度をつくり、認可外施設なのに「認可並みの助成が受けられる」としています。国では今年度827億円の補助金を見込んでいます。
 今回事故のおきた「キッズスクウェア日本橋室町」は、この「企業主導型保育」の先取り的な保育施設です。日本橋室町周辺の7つの企業が共同で従業員のために設けた事業所内保育施設で、保育従事者が施設長を含め全部で6名、そのうち4名が保育士資格者ということですが、みな保育経験が1~4年の、経験の浅い保育士でした。施設長は、四年前に保育士資格を取り、この施設の運営会社アルファーコーポレーションに入社して1年3か月で施設長となった人です。ゼロ歳児3名、1歳児12名、2~4歳児7名、合わせて22名の子どもを預かっています。施設面積や人員は「認可外」の基準を満たす施設ですが、ここで重大な死亡事故が起きました。
 そこで質問します。都道府県への届け出で開設でき、保育士の配置基準も緩和された施設で24時間サービスなどに対応するという「企業主導型保育」は、保育の質を下げ、子どもの命を危うくしかねないと考えますが、いかがですか。また、中央区の待機児対策の受け皿は、「企業主導型保育」でなく、保育の質がきちんと確保された「認可保育所」ですすめることを求めます。ご答弁ください。
 保育施設での事故をなくし、保育の質を確保していくためには、不足している保育士の確保とスキルアップのための待遇改善は急務です。
 待機児童が多い東京の保育士不足は深刻で、東京労働局によると、千代田、中央、文京3区などを担当するハローワーク飯田橋では、有効求人倍率は昨年十一月に66倍に跳ね上りました。東京都の計画では17年度末に待機児童をゼロにするため、毎年1万2千人分の保育施設を新設し、年間2640人の保育士が新たに必要になるとしています。一方、待遇の悪さや結婚などを理由に離職率は年8%を超えているため、約3500人の補充も必要だと言うことです。
 国は「ニッポン1億総活躍プラン」の中で保育士の賃金を来年度から月額約6千円引き上げるとしています。しかし保育士の賃金は、全産業平均と比べ年166万円の差があります。年間で7万円程度では待遇改善に程遠く、保育士不足は改善しません。
 そこで質問します。国会で民進党・日本共産党・社民党・生活の党は共同で保育士の給与を月額5万円引き上げる「保育士処遇改善法案」を提出しました。全産業平均と比べて月約10万円の賃金格差を解消していくために最低限必要な措置だと考えますがいかがですか。ご見解をお示しください。
 待機児童解消は待ったなしの課題です。中央区でも、認可保育所に申し込んで入所できなかった待機児童は4月で623人にのぼっています。その内、認証保育所などに入っていたり、育児休暇を延長するなどして待機している人数を除いた待機児童数は263人、昨年の119人より144人も増えています。
 国は、規制の弾力化による臨時的な受け入れ強化として、国の最低基準を上回る自治体は受け入れ人数を増やす、19人以下の小規模保育の上限を22人に拡大することを主な内容にした緊急の対策を出しましたが、中央区を含め、多くの自治体で、独自基準を下げることはしない、国の「詰込み」策に同意できないという声が上がりました。当然のことだと考えます。国が自治体に対し、最低基準まで引き下げるよう求めるなどということは言語道断です。
 日本共産党は、待機児童解消のための緊急提案として、30万人分(約3000カ所)の認可保育所を緊急に増設する。そのために国や自治体が先頭にたって公立の保育所をつくることを求めています。公立の保育所が減っている大きな原因は、国が保育の負担金を「一般財源化」の名でなくしてしまったことにあります。自治体が公立保育所建設を進められるように、国の責任を果たすことが求められると考えます。
 そこで質問します。国に対し、「詰め込み」ではなく、面積基準・人員配置の最低基準の改善と、それを可能にする財政的保障を強く要請するべきだと考えますがいかがですか。特に、都市部で公立の保育所を作るには、土地の確保が課題です。国有地の無償提供や、土地確保のための国庫助成制度の緊急創設と、公立保育所に対する国の新たな財政支援制度を創設することや、保育所の建設や分園の設置・改修への補助、運営費の国庫負担分の復活が必要だと考えますがいかがですか。ご見解をお聞かせください。
 さらに区独自に、区立保育園の保育士配置をもっと手厚くし、行き届いた保育ができるよう、正規職員の増員をはかることを求めます。ご答弁ください。
 中央区では、子ども・子育て支援事業計画で想定した量の見込みが2年前倒しで増加しているということです。来年4月開設予定で4園の私立認可保育所などの整備が予算化されていますが、特に待機児童が多い1歳児を中心に、さらに施設を増やしていくことが必要だと考えます。
 そこで質問します。日本共産党区議団は、これまでも、休園中の幼稚園の活用や、新校舎に移る豊海小学校の暫定利用や区立保育園の分園方式などの提案を行ってきました。今回の補正予算で、水谷橋公園の利用が提案されていますが、以前から繰り返し要望している、都有地・国有地の活用などを含め、思い切った対策をとり、施設の充実した、保育士の配置も厚い施設の増設を区の責任ですすめていくことが必要だと考えます。お答えください。また、晴海の交通機動隊跡地の活用について、その後関係機関とどのような検討がすすんでいるのか、区立保育園の分園方式の可能性などの検討状況もお示しください。

3.熊本地震をふまえたまちづくりについて

 次に、熊本地震をふまえたまちづくりについてについて質問します。
 4月14日、熊本で大きな直下地震が起きました。断層のズレによよって生じた直下地震である熊本地震は、2ヶ月を過ぎても収まらず、6月18日にも震度4の揺れを観測しています。6月19日までに、有感地震は1767回、うち、震度7~震度5弱が19回、震度4が90回も起きています。
死者49人、関連死疑い20人、行方不明1人、負傷者1738人、住宅被害14万5060棟を数え、被災者は今でも地震の不安のもとに生活しています。
 熊本地震は観測史上初めてという特徴がいくつかあります。
 震源が浅かったことと断層が地表に出るすれすれで止まったことが複合的に絡んで、M6・5で震度7の揺れを記録したこと、M7に満たない地震でも直下地震では、長周期地震動で一番強い「階級4」を記録したこと、地下に中規模な断層が多数あって、余震が続くうちに断層帯のまだ活動していない部分に影響して強い余震続いているのではないかということなどです。
 東京では、直下地震、東海・東南海・南海地震などの大地震が起きる確率は、30年以内での発生は7割といわれています。
 元日本活断層学会副会長の豊蔵勇氏は、東京の活断層を10年間かけて研究した結果、東京の地下にはたくさんの断層があり、中央区の地下にある「推定断層」は、「銀座推定断層」「築地推定断層」「勝どき橋推定断層」「月島推定断層」で、いずれも南北に走っているということです。
 首都直下地震が起きれば、超過密都市である東京の被害は、関東大震災のそれを大きく超えることは確実で、地震による首都機能への影響は計り知れない規模になるでしょう。
 熊本地震をふまえた、防災・減災・震災対策の再検証と見直し、対策の強化が必要だと考えます。
 区長は、「世界一ビジネスをしやすい都市」東京の牽引役になることを宣言していますが、東京は、地震の巣の上、それも関東ローム層という厚い軟弱地盤の上に立つ世界最大の都市です。地盤が軟らかい場所では、地震の揺れが増幅されて震度が上がりやすいと言われていますから、東京の「開発の歴史」や東京の「根本的危機の構造」を検証してみると、「世界一の都市」東京どころか、ビジネスをする都市としても大きなリスクがあることを直視しなければなりません。
 どこで地震や噴火があってもおかしくない災害列島の国、日本の首都に経済の中心と政治の中心を置いて、両方同時に機能停止するリスクははかりしれません。
 そこで区長にお聞きします。
 第1に、大地震の可能性と中央区が抱えるリスクについてどうお考えですか。
 第2に、直下地震が起きれば、超過密都市東京の被害は甚大です。わずか10平方キロメートルの面積の土地の上に、「100万人が住み・働き・楽しめるまち」をつくるという計画は根本的に見直すべきだと思いますが、いかがですか。
 第3に、中央区のまちづくりは、大規模開発中心ではなく、関東大震災後に後藤新平氏らが企画したような、大きなグリーンベルトや大型広場、日常生活を潤す都市公園の拡張などの防災・減災を基本に据えたまちづくりに転換し、区民が安心、快適に生活できる都市環境の整備に力をそそぐべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれご答弁ください。

4.築地市場「移転」問題について

 次の質問は、築地市場「移転」問題についてです。
 東京都は、築地市場を11月2日で閉め、4日間で引越しをおこない、豊洲市場を11月7日に開場するとしています。
 建物の本体工事は2カ月遅れの5月末で東京都に引き渡されましたが、さらに追加工事として、仲卸棟のスプリンクラーや電気設備工事、動力源増設工事など、これから、工期が9月30日までかかる工事も予定されています。鮮魚販売に欠かせない製氷施設は、11月の開場後にならないと整備できないなど、業界から「あまりにもお粗末」という声が上がっています。
 また、もともと、本体工事の前に示されるべき「基本設計」や「実施設計」がうやむやのまま、物流計画や床積載荷重などについて業者の合意も無く工事を進めてしまったため、無理に無理を重ねて強行してきた豊洲への移転は、日にちが近づくほど矛盾が広がり、業者や消費者の不安も高まっています。
 何よりも土壌汚染の問題は、汚染の調査もきちんと行わず、2年間のモニタリング検査を待たずに工事を着工したため、とても「汚染対策完了」と言えない状態で施設を建設してしまい、食の安全がないがしろにされたままです。
 そこで質問します。豊洲市場の整備は、順調に進んでいるとお考えですか。食の安全は確保されているとお考えですか。お答えください。
 「移転」の期日まで5カ月をきりましたが、豊洲市場の開場延期を求める声が日増しに高まっています。
 5月20日、仲卸業者らでつくる「躍進する市場の会」は都庁で会見し、開場予定日の延期を求める要望書を提出しました。開場予定の延期、売り場等の床の設計強度が不十分であること、新市場でのコストが高くなる、交通アクセスが悪い―などの問題について仲卸業者の声を聞くよう都に求めています。この要望書は122の業者の賛同を得ていると報道されました。
 5月24日、さらに、水産仲卸業の有志が呼びかけ活動している「築地市場・有志の会」がおこなっている、開場スケジュールの「撤回」を求める「請願署名」が、仲卸業者591人の54%にあたる321人から寄せられ、過半数を超えたことも報道されています。
 6月13日には日本消費者連盟も、開場計画の凍結を求める陳情を都議会に提出しています。
 「11月7日の開場予定日の延期」は仲卸業者をはじめ、多数の声になっています。
 日本共産党区議団は、あくまで現在地での整備こそ必要だと考えていますが、今緊急に必要なことは、東京都が11月7日の開場中止を決断し、関係者の声を真摯に聞いて、計画全体をきちんと見直し、解決策を図る道筋をつけることだと考えます。このままではますます矛盾が拡大してしまいます。直前の変更という事態になれば中央区の「築地魚河岸」への影響もはかりしれません。
 そこで質問します。業者、関係者の声に応え、一刻も早く開場延期の決断をするよう都に求める必要があると思いますが、いかがですか。ご答弁ください。

5.パリ・ロンドンへの海外視察について

 最後の質問は、本定例会に提案された補正予算の「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた海外視察」についてです。
 15日閉会した都議会では、日本共産党都議団が追求した豪華海外出張問題を発端として、舛添東京都知事の「政治とカネ」をめぐる疑惑が次々に吹き出し、都の公用車を使った湯河原の別荘通い、政治資金を流用した家族旅行や美術品買いあさりなど、あきれるばかりの公私混同に、都民の怒りの声がひろがり、とうとう舛添都知事は辞職に追い込まれました。
 こうした中、中央区は、この6月議会に、パリ、ロンドンへの「海外視察」を提案しています。「舛添知事の海外視察が大ブーイングを浴びている最中、『最悪のタイミング』と庁内の視線は冷ややか」と報道されたり、区民の方からも「もう東京都の選手村計画がかたまってしまってから何を見に行くのか。海外で見てくるより、まちの声を聞いて欲しい」という声が寄せられています。
 補正予算では、この視察経費に1118万円を計上し、7月3日から9日の7日間、パリ、ロンドン市を、区長、区議会議長ほか4名が視察するという提案をしています。
 私は、今回の視察について「なぜ、この時期に、パリ・ロンドンなのか」納得がいきません。海外視察の必要を考えていたのであれば、当初予算で提案するのが筋ですし、議会にも前もって説明がなされるべきです。なぜ突然、補正予算まで組んで視察するのでしょうか。
 そこで質問します。
 第1に、視察経費の内訳について、詳しくご説明下さい。
 第2に、なぜ今の時期の提案となったのでしょうか。
 第3に、視察内容は、観光施策、多言語対応、大会後のまちづくり、まちの安全・安心の取組、受動喫煙防止の取組などとしていますが、具体的にどんな視察を予定しているのですか。
 第4に、6人で1100万円もかける海外視察に、区民の理解は得られないと考えます。しかも、現在パリは6月3日におきた洪水の被害で大変な状況です。さらに、日本の外務省は「フランスはテロの脅威が極めて高い地域」(6月12日)として、注意を促しています。今回の海外視察は中止すべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれご答弁ください。

 以上で第1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。

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○矢田美英区長 答弁

 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。
 初めに、憲法問題についてであります。
 自由民主党の日本国憲法改正草案につきましては、国防軍の位置づけ、緊急事態の宣言、基本的人権や地方自治のあり方などについての考えを、第九条を初め、関係条文の具体的な改正案の形で示されたものであると承知しております。いずれにいたしましても、憲法問題につきましては、国民的議論が十分に尽くされる必要があります。そのためには、まず憲法改正の発議権を有する国会におきまして、国民の理解や判断に資するような審議が慎重かつ十分になされるべきものであると認識しております。
 次に、保育所問題についてであります。
 初めに、区内認可外保育施設において、睡眠中の児童が亡くなられるという痛ましい事故が発生したことにつきましては、極めて残念なことであります。当該保育施設に関しては、児童福祉法に基づく指導監督者である東京都によりまして、死亡に至った経緯の確認と再発防止に向けた指導が行われたものと認識しております。区といたしましては、今回の経緯を踏まえ、認可・認証保育所に対し、園長会や巡回指導を通じまして注意喚起を行ったところであります。認可・認可外を問わず、今後の保育施設の事故防止対策については、本年三月に国が示した教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドラインに基づき、都・区それぞれの役割に応じた適切な関与のもと、施設事業者が責任を持って安全管理の徹底に取り組むべきものであると考えております。
 次に、企業主導型保育事業についてであります。
 本事業は、企業が従業員のために実施するものであり、その位置づけは認可外保育施設となることから、都の指導監督のもとで適切な運営がなされるべきものであります。なお、区では、今後も引き続き認可保育所の整備を進めるとともに、地域型保育事業などを効果的に組み合わせ、待機児童の解消を図ってまいります。
 次に、保育士の処遇改善についてであります。
 国が人事院勧告に準拠した基本単価引き上げと公定価格上の加算によって約七%の改正を行い、東京都がキャリアアップ補助による上乗せ支援を行うことによりまして、保育士の処遇改善は着実に進んでいると認識しているところであります。
 次に、保育施設最低基準や公立保育所の財源等についてであります。
 待機児童の解消が急がれる中でも、保育所の運営には子供の健やかな成長や安全性の確保等の観点が重要であることから、区といたしましては、巡回指導などの支援を通じまして保育の質を確保してまいります。財源等につきましては、子ども・子育て支援新制度の枠組みの中で、国の子ども・子育て会議等において議論されるべきものであると考えております。また、区立保育所の保育士配置につきましては、現在、一歳児五人に対して保育士一人と、認可基準を上回る配置を行うとともに、必要に応じて非常勤職員、臨時職員を配置しておりまして、十分な体制がとられております。
 次に、待機児童解消の対策についてであります。
 保育施設の整備に当たり、公有地の活用が必要であることは、区としても認識しているところであります。晴海一丁目の都有地につきましては、平成三十一年度まで利用する状況は変わっておりませんが、引き続き東京都を初め関係機関に利用可能な公有地に関する情報提供を求めてまいります。また、今後の保育所整備につきましては、五歳児まで同一施設で保育できる認可保育所を中心に進めてまいります。
 
 次に、大地震の可能性とリスクについてであります。
 本区に甚大な被害が想定される地震は、東京湾北部地震や元禄型関東地震、さらには南海トラフの巨大地震がありますが、中でも東京湾北部地震は今後三十年以内に七○%の確率で発生することが予想されております。この東京にいつ大きな地震が発生しても、不思議ではございません。平成二十四年四月に東京都が発表した東京湾北部地震による本区の被害想定は、震度六強の地震が発生し、死者百六十二人、負傷者八千五百三十三人、建物全壊千九百四十二棟のほか、帰宅困難者は三十万人以上が見込まれております。ちなみに、東京都内全体では九千六百四十一人が亡くなられるということでございます。そのため、区では災害時のさまざまなリスクに的確に対応するよう、地域防災計画に原則六割減の減災目標を定め、総合的な防災対策を推進しているところであります。
 次に、まちづくりの見直しについてであります。
 直下型地震等の災害は日本全国どこでも起こり得ることから、本区では、災害に備えた防災機能の向上と国際都市東京の活力を創出する都市機能の更新を同時に図ることで、首都東京をリードするまちづくりを進めております。具体的には、地区計画による建物更新を通じまして不燃化・耐震化を進め、再開発などの面的整備によりまして、国際ビジネスやインバウンドに対応する拠点の形成を図り、あわせて防災広場や帰宅困難者の受け入れ施設など、災害時に必要となる機能を確保しております。こうした総合的なまちづくりは、まさしく区民が安心・快適に生活できる都市環境の整備につながるものでございまして、引き続き推進してまいります。本区の将来像につきましても、これまでの取り組みを踏まえ、現在進められている基本構想の審議を通じて本区の未来にふさわしい姿を描いてまいります。
 
 次に、築地市場の移転についてであります。
 食の安全・安心の確保は、当然のことながら市場移転の大前提ででありまして、移転に向けたさまざまな取り組みは、東京都の責任におきまして確実に対応されるべきものと考えております。都の豊洲市場建設工事につきましては、本体工事と業界の大規模造作工事を同時に施工するなどの対応を行ったため、今年度への工期のずれ込みが生じましたが、全体の工程には影響しないものと聞いております。また、豊洲市場用地につきましては、平成二十三年度以降、都による土壌汚染対策工事が進められ、二十六年十一月に開催された技術会議において、全ての対策工事の完了が確認されたところであります。市場業界団体の合意を得て都として決定した豊洲市場開場日まで、残すところ半年を切りました。区といたしましては、予定日である十一月七日に確実に開場できるものと現時点では考えており、移転後の築地の活気とにぎわいを継承し、さらなる発展に向けた取り組みを推進してまいる所存であります。
 
 次に、海外視察の経費内訳と視察時期や、その内容についてであります。
 今回の六月補正で計上いたしました予算につきましては、旅行業者への委託料一千七十一万二千円のほか、規定に基づく日当、支度料、羽田空港までの交通費の合計四十一万三千円、保険料六万一千円を合わせた一千百十八万六千円であります。この委託費の内訳としましては、往復の航空運賃四百六十六万円と、パリに三泊、ロンドンに二泊の宿泊料百四十九万円が含まれております。このほか、パリからロンドンへの電車代二十三万円、現地での移動車代、通訳や現地視察に係る経費等四百三十三万円が主な項目となるものであります。こうした経費につきましては、本区の条例を基準に算出しておりますが、規定にかかわらず、さらなる経費の縮減に努めているところであります。
 次に、視察の時期及び内容についてであります。
 中央区オリンピック・パラリンピック区民協議会等への反映や晴海地区の大会後のまちづくりにおける公共・公益施設の整備について今後さらに具体的な協議・調整を進めていかなければならないことなどから、先進的な観光都市の取り組みやロンドン二○一二大会後の選手村の活用等の確認をなるべく早い段階で行うことが最も有効であると判断したところであります。
 次に、海外視察の実施についてであります。
 今回の視察につきましては、四年後に迫った東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、本区がさらなる成長を遂げるために大変重要な意義を持つ視察であると考えております。選手村を擁する本区は、大会後のレガシーとして、晴海地区に新たなまちが生まれるとともに、将来にわたって中央区全体ににぎわいと活気をもたらす取り組みを推進していかなければなりません。そのため、今回の視察で得られた見聞をオリンピック・パラリンピック区民協議会やその下部組織となる観光・文化検討部会に情報提供するだけでなく、現在着手している新たな中央区基本構想の策定におきましても寄与する視察となるよう取り組んでまいる所存であります。
 答弁は以上であります。

○小栗智恵子議員 再質問

 それでは、御答弁をいただきましたが、再質問をさせていただきたいと思います。
 
 まず、憲法の問題です。
 言うまでもないことですが、憲法は国の最高法規です。法律も国会も憲法によって縛られ、憲法に違反する法律は効力がありません。そして、憲法を守らなければいけないのは、天皇を初め、国務大臣や国会議員、裁判所、その他の公務員です。それなのに、安倍政権は憲法に違反する安保法制を昨年九月に強行しました。立憲主義というのは、憲法に基づく政治です。それなのに、安倍首相は、憲法に違反しているというなら憲法を変えてしまえという考えです。こんなことが許されるのでしょうか。
 私は、安倍政権が目指す改憲の中身について具体的に質問をいたしましたが、区長はお答えになっておりません。大きな力、権力を持つ政府が国民の人権を踏みにじったり、自由を奪ったり、生存を脅かしたり、戦争を始めたりしないように憲法がある。そのことについて、憲法学者ではないからとか、決めるのは国会だという態度では大変問題があるのではないかと私は思います。憲法改正について、主権者である国民の立場に立って、自治体の首長として判断し、きちんと質問に答えていただきたいというふうに思います。この点で御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、保育の問題です。
 今回の事故で男の子を亡くした御両親は、毎日この悲しみに暮れながら、なぜ命を守ってやれなかったのか、なぜあの施設に預けてしまったのかと自責の念に押し潰されそうになりながら、二度とこのような事故が繰り返されることにないようにと、力を振り絞って行動されています。
 今、保育士の待遇の改善のために賃上げや増員を求める運動、また認可保育園を求める、そういう声と運動が広がっている中で、今、逆に政府のやり方は、企業主導型というようなものをどんどん投入して、さらなる規制緩和、そういうものが進められようとしています。こういう状態をこのままにしておくわけにはいかないというふうに私は思います。区長はさきの御答弁で、子ども・子育ての新制度の枠の中で考えていくというお話だったんですけれども、国は、これまで公立保育所の補助金があったのをなくしてしまい、企業や株式会社の保育所への助成をどんどん拡大している。そういう中身自体をやはり問題にしなくてはいけないのではないかというふうに私は思います。法的な保育の充実を求める声が広がる中で、責任を持ってこれを進めていく、そして、そのためには、今の国の制度の枠組みを変えて、きちんと公立保育所が増設できるように国に求めていくことも必要ではないかというふうに思います。その点で、もう一度御答弁をいただきたいというふうに思います。
 
 次に、熊本地震に関連したまちづくりの問題です。
 先ほども述べましたけれども、本当に地震はいつ、どこで起きても不思議ではないという状況ではありますが、特にこの首都東京で直下型の地震が起きたら、どんな災害になるのかというのは本当に想像を絶する話です。先ほども御紹介された東京都が公表している被害想定というのがありますけれども、それは本当に想定ですから、こういう場所で、こういう地震が起きたときはどうなるかという、あくまでの想定ですから、死者が百六十二人、避難者が四万五千人、建物の倒壊が千九百四十二棟というような想定が出されていますけれども、これでおさまるというような保証はないというふうに思います。人が集まり、車も集まり、建物も密集している、そういうまちづくりを進めていくことは大変リスクを高めてしまう、そういうことになると思います。そういうことを転換させていくまちづくりが必要ではないかというふうに思いますけれども、その点について再度御答弁をいただきたいというふうに思います。
 
 築地市場の問題は、現実を直視していくことが必要だというふうに思います。このままでは、開場したら大混乱になるというようなことで大きな不安が広がってる中で、東京都がちゃんとやっているだろうというような御答弁だったんですけれども、やはりきちんとした食の安全・安心を守る上でも、今、この開場の延期を求める、そういう人たちの声に応えて行動することが必要ではないかというふうに思います。
 
 海外視察の問題ですが、区長からいろいろ御説明いただきましたけれども、今回の視察の主な内容である二○一二年のロンドン大会後の選手村跡地のまちづくりなどの取り組みについては、二○一四年に既に委託会社の職員を派遣して現地調査を行っています。この現地調査で、ロンドンでは選手村の半分が公的住宅として提供されて、教育施設などの整備でまちが活性している、そういう内容なども報告されておりました。
 そして、私たち党区議団としても、こうした報告の内容を生かして、東京大会でも跡利用の住宅に都営住宅などの低家賃の住宅、そういう公共住宅を整備するよう東京都に求めていくことなどを含めて、区に対しても、そういう要望を東京都に上げるよう繰り返し提案をしてきました。中央区からも、二○一五年三月十日には区長と議長の連名で、このような現地視察などを踏まえて、選手村整備に伴う本区への影響等に関する要望書を都知事宛てに既に提出しています。
 六月六日の企画総務委員会で、区の説明では、東京都がことし七月に選手村の特定建設者の予定者を選定して、九月には建設者を決定する。なので、そのタイミングで視察をしたいというような説明もありましたが、なぜ今の時期に急いで補正予算まで組んでやるのか、なぜ緊急に行かなくてはいけないのか、そういう理由としては納得がいかない説明です。このような内容では、区民の理解は得られないというふうに私は思います。そういう意味で、この視察の実施の再検討を求めますが、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
 
 以上で再質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

○矢田美英区長 再質問に対する答弁

 小栗智恵子議員の質問に再答弁させていただきます。
 憲法問題、これは本当に御指摘のように最高法規でありますから、これは全国民がしっかり守っていかなければならないわけでございまして、そういう意味におきましては、国民的議論がね。きょう、参議院選挙も公示されましたし、大いに議論されていくであろうと思います。また、さっきのテレビなどを見ても、されつつありますから、大いに期待しているわけでありますけれども、例えば国際情勢が、今、どんどん変わっておりますからね。きょうも北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射したり、中国の軍艦が日本近海に入ろうとしたというような報道もなされておりますし、アメリカにおきましては、さまざまな発言で物議を醸しているトランプさんが有力な大統領候補になるのではないかと言われているわけでございまして、そういう面では、しっかりと国民の安全・安心、日本をどうやって守っていくのかといったこともさまざまに議論がこれからもされていくであろう、こういうふうに思います。私自身は、現在の自衛隊の最大の特色である専守防衛、シビリアンコントロール、文民統制ですね。こういったものは、どんなことになっても守っていかなければならないものではないかな、そういうふうに思いますし、また、戦争絶対反対、核兵器廃絶、テロ撲滅、これはあらゆる場で私は申し上げているところでございまして、そういう点では、国を挙げてそういう姿勢をこれまでも戦後一貫して続けてきたわけでございますし、だからこそ、私たちは七十年間も平和にいられたわけでありますから、これからもそういう姿勢を国、また各地方自治体も守っていっていただきたいな、こういうふうに念願するところであります。
 保育所問題、これは本当に大きな問題ですね。中央区におきましても大きな問題でございますから、さまざまな工夫をして、どんどん保育所をふやし、待機児童を減少させていこうと努力しているわけで、四月一日で二百六十三人の待機児童がおられるというわけでありますから、これがゼロになるように、今後もさまざま、区議会の皆様と一体となって続けてまいりたい、こういう思いであります。また、関係機関の御協力を得ながら、保育所をつくる土地の御協力を願ってまいりたい、こういうふうに思うわけであります。
 それから、大地震。熊本県は四百年も地震がなかった地域だと言われているのに、今は頻繁に揺れているということでございます。この東京もいつ大きな地震が来ても不思議ではない、再三答弁させていただいているとおりでございますから、そういった面でも、まちづくりの面で、どんな大きな地震が来ても大丈夫だ、そういうまちをつくって、死者の想定百六十二人、これを六割減どころか、ゼロにしなければならない、そういうふうに思うわけでございまして、不燃化、それから耐震性の向上はまだまだ足りない面があるわけです。安全・安心こそ、まちづくりの原点であるわけでございますから、そういう観点から、まちづくりをしっかりと続けてまいりたい、こういうふうに思うところでございます。
 また、築地市場につきましては、これは要望ですね。わかりました。
 それから、パリ、ロンドン海外視察ですね。いろいろと御心配、御注意いただきまして、本当にありがとうございます。
 行政は、議会の皆様方も同じですけれども、何もせずに、国や東京都に任せておけばもういいじゃないかということならば、視察も何も要らないかもわかりませんよね。国や東京都が主体的にやってくれるんであろうから、選手村を擁する地域、自治体といえども、何もしないで通り過ぎるのを待つという姿勢をとろうと思えばとれるかもわかりませんけれども、そうもいかないのではないでしょうか。せっかくオリンピック・パラリンピックが五十六年ぶりにやってきて選手村ができるのでありますから、そういう際にさまざまな東京中央区の文化・芸術、芸能、そういうものを披露したいなんていう声もあります。先般も古典芸能鑑賞会、十八回目を迎えましたけれども、そういった関係者なんかも、この機会に、日本のすばらしい伝統ある芸能文化が中央区でこんなに盛んなんだ、こういうのを披露したい、また内外のお客様に披露の申し出をしたいということで、いろいろな方々が私のところへも来ていただいております。またレガシーですね。せっかく選手村ができるのであるから、そのレガシーとしてしっかりとしたものを残してくれないかと。
 例えば、昨日も申し上げましたけれども、障害者の皆様方七団体の方々と初めて一堂に会して、さまざまな御意見を伺いましたけれども、障害者の権利が施行された年でもあるわけでございますから、そういう面でも大いにやっていかなければならないということでね。日本は、先進諸外国に比べると、障害者に対する施策等で随分劣っている点も多々見られるわけでありますから、そういう面ではしっかりとしたものをレガシーとして、例えばさまざまな福祉・医療施設とか、そういうものも必要である。ロンドンなんかはそういう施設がつくられているということでございますから。無論、先般行きましたシドニーで選手村も見ましたけれども、あそこはそういうのはなくて、集合住宅が主でございましたけれども、そういった点、さまざまな点に見聞を広めて、そして、それを着実に実行するということが大事なのではないでしょうか。
 先ほど申しましたように、何もしなくていいというのではなく、五十六年ぶりにやってくるオリンピックを、議会も行政も一体となって、さまざまな点で、よかったなという夢と希望を持って迎え、そして、その先を見据えて、もう何回も答弁させていただいているとおりでございまして、中央区のさらなる飛躍発展ですね。世界一のまちをつくる、その東京の牽引役をしっかりと区議会の皆様方と一体となって図る、そのためにも視察をしようという計画であるわけでございます。
 答弁は以上であります。

○小栗智恵子議員 再々質問

 御答弁をいただきましたが、海外視察の問題、納得がいきません。六月になって急に補正予算を提案して、七月一日に本会議が終わってその後すぐに、七月三日から行くと。なぜこの時期に、そして、パリとロンドンに行かないといけないのかということも含めて、このままでは区民の納得は得られないのではないかというふうに私は思います。
 そのほか、今回、保育所の問題、地震とまちづくりの問題などについて質問させていただきました。
 保育園の問題では、子供の安全で健やかな成長を生むはずの保育所で事故が起きているということで、何とかしなくてはいけないという思いで質問をいたしました。中央区が先頭に立って保育の充実、子育て支援の充実を図るように強く要望したいと思います。
 憲法について取り上げたのは、本当に、今、世界に誇るべき日本の憲法を変えてしまおうという動きが強まっているからです。憲法は、地方自治にもかかわる大きな問題です。憲法を守り、暮らしに生かしていくことを求めて、また、個人の尊厳を守ろうということで、今、市民連合を初めとした市民や国民の声と運動が広がって、立憲主義の回復を掲げて、野党共闘も大きく前進しています。
 私は、こうした立憲主義の回復を求める国民的な声と運動と力を合わせ、未来を開く、そういうためにこれからも努力していくことを表明いたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

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