平成28年度中央区各会計予算に対する態度表明

2016年3月25日 日本共産党中央区議会議員団

 平成28年度中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 日本共産党区議団は今年も2月から「区民アンケート」に取り組んでいます。
 「賃金が上がらないのに、物価が上がった。アベノミクスの恩恵を受けているものは回りには誰もいない。」「子供が生まれたが、保育園に入れず、妻が仕事をしたいのに復帰できず、収入も減り、暮らしも良くならない。」「 驚くほどのスピードで開発が進み、次々と新しいマンションができているが大企業、高所得者ばかりに目が向いていると感じる。今住んでいる公営住宅を出されたらとても中央区に住めない。高齢の親を中央区に残すのも心配。」こうした切実な声が多数寄せられています。
 いま貧困と格差の是正が日本社会の大問題になっているにもかかわらず、国の2016年度予算案は、社会保障を切り捨てる内容です。一方で、空前のもうけを上げている大企業に対しては法人税減税という恩恵を与え、戦争法である安保法制を強行成立させて、軍事費は5兆円を超える史上最高の規模に膨れ上がらせるなど、反国民的な性格が際立ったものとなっています。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、「経済の再生」どころか、勤労者世帯の実質可処分所得を30年前以下の水準に落ち込ませていることが明らかになっています。
 「中央区景気動向調査」2月実施分でも、現状判断DIも先行き判断DIも共に低下しており、消費の停滞が顕著に表れています。
 また、安倍政権の3年間で正社員が23万人減った一方、非正規雇用の労働者は172万人増えており、格差と貧困が拡大しています。
 安倍政権は、社会保障をはじめとする公的サービスの産業化を推進するとともに、「国家戦略特区」などの規制緩和による大規模都市開発を進めるなど、「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざし大都市に「人・モノ・金」を集中させています。
 また、東京都は、舛添都政のもとで、2020年東京五輪準備を口実にした大型開発や、東京全体に「国家戦略特区」を広げて、超高層ビルの建設を進める「まちこわし」を進行させています。
 今年11月7日に開場するとしている豊洲新市場は、施設の不備や食の安全・安心を脅かす深刻な土壌汚染など問題は山積しており、築地市場「移転」は、中央区全体の地域経済と区民へ深刻な影響を与えます。
 中央区に求められるのは、こうした国や都の悪政から区民生活を守る「防波堤」の役割をしっかり果たすことです。
 日本共産党区議団は、昨年2015年9月25日、毎年行っている区民アンケートなどに寄せられた切実な要求や政策的な要望を集約した517項目の「2016年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めてきました。
 本予算特別委員会では、各款について詳細に質疑し、問題点を指摘するとともに具体的な提案を行ってきました。さらに、区民の命と生活を守る施策を予算化するという基本に立って、第一に、ムダを省き、簡素で効率的な区民本位の行財政運営を図ること、第二に、ひとり親家庭への家賃助成の実施、交通事故防止のためのハンプ導入モデル実施などを計上した予算修正案を提案しましたが、残念ながら他会派の賛同を得られず、わが党の修正案は否決されました。
 区長提案の予算案には、わが党が長年要求していた道路占用料の1.3倍の引き上げによって6億円の増収がはかられるなど、一定評価できる施策もありますが、各会計予算案は抜本的な見直しが求められると判断しました。
 よって、日本共産党中央区議会議員団は、議案第1号、議案第2号、議案第3号、及び議案第4号の各会計予算案に反対します。以下、その理由を述べます。
 まず、一般会計予算についてです。
 第一に、予算規模は過去最大の約950億円となりますが、3割が土木建築費で、その半分近くが市街地再開発事業に充てられるという23区でも特異な自治体となっています。
 第二に、規制緩和による超高層ビル・タワー型マンションを林立させる大規模再開発事業やマンション建設がすすめられ、急激な人口増による施設不足や、地球温暖化に拍車をかけるCO2増大などの課題は深刻化する一方です。歪んだまちづくりを見直し、持続可能で区民本位のまちづくりへと転換する「新たな舵取り」こそが求められます。
 第三に、民間に区民情報を提供するオープンデータ化はやめるべきです。
 第四に、中央区でも、約12,000人が通知カードを受け取れずにいるなど、問題山積のマイナンバー制度で、カードの利用を促進するため、住民票や印鑑証明書のコンビニ交付を始めるのは、個人情報漏えいの危険を拡大するものであり、中止すべきです。
 第五に、中央区では、PFI事業や指定管理者制度など民間事業者に施設の管理・運営を任せるアウトソーシングが拡大しています。区民館等では利用ルールがまちまちで利用者に混乱がもたらされたり、介護施設等では利用者の要望聞き取りや説明責任、安全な運営責任は施設まかせで、施設設置者としての区の役割が著しく後退していることは問題です。
 第六に、2020年東京オリンピック・パラリンピックをテコにした大規模開発やイベント開催に予算を注ぎ込むのではなく、地方自治法にもとづき「住民の福祉の増進を図る」ことに力を注ぐべきです。
 第七に、出生数も2000人となる中、待機児問題が深刻化しています。保育園や病後児保育などの子育て支援策の拡充が求められます。待機児解消にむけ、保育所増設を企業任せにせず、区の責任で、保育の質を考慮した緊急措置として区立保育園の分園を設置するなどの解決策に知恵を尽くすときです。
 第八に、子どもと教員を疲弊させ、過剰な競争を生む「学習力サポートテスト」は廃止すべきです。学力向上のためには1日も早い少人数学級の実施こそ求められます。
 第九に、貧困と格差が広がるもと、学校給食や標準服の無償化を求めましたが、最高裁の判例を楯に、背を向ける姿勢は問題です。「義務教育は、これを無償とする」と定めた憲法第26条の精神を汲み、学校教育における保護者負担の軽減に努力すべきです。
 次は、特別会計予算についてです。
 国民健康保険は、新年度にも値上げが予定されています。高すぎる保険料を払えない滞納世帯が25%に上るなか、「国民皆保険制度」を破壊しかねない保険料の引き上げは止めるべきです。
 介護保険は、新年度から、要支援1、2の生活支援サービスを介護予防給付から外し、総合事業に移行するとしています。サービス提供を無資格者に置き換えることは、介護保険に対する安心と信頼が失われることになり問題です。
 後期高齢者医療保険は、新年度、財政安定化基金の活用で一人当たり保険料は減となりますが、均等割額も所得割率も引き上げとなるため、保険料が上がる層がほとんどです。75歳という年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出し、高い保険料と安上がりの差別医療を押しつける制度は、即刻廃止すべきです。
 以上、議案第1号、議案第2号、議案第3号、及び議案第4号の各会計予算案に対する反対理由を述べ、日本共産党中央区議会議員団の態度表明を終わります。

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