20160307 福祉保健委員会付託
2016年3月7日 小栗智恵子
「議案第27号中央区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する反対意見を述べます。
本議案は、国民健康保険料の保険料率の改定と、均等割額から減額する額を改定することを主な内容としています。
特別区の国民健康保険事業は、統一保険料方式で運営され、今回も23区の基準保険料率の改定に伴い、中央区もこの基準にそって保険料を引き上げる内容となっています。
今回の改定は、保険料の基礎賦課(医療)分および後期高齢者支援費分で、所得に応じて支払う所得割を100分の0.45引き上げ100分の8.88に5.3%の増、所得に関係なく加入者全員が同額を支払う均等割額を、現行44,700円から46,200円へ1,500円、3.4%増額するものです。
その結果、中央区での一人あたりの保険料は、129,466円と6,331円、5.1%の引き上げとなります。40歳以上65歳未満の人は介護納付金もあわせて、160,636円です。
国民健康保険料は、今でも高すぎて払えないと悲鳴が上がっています。中央区の滞納世帯は、2014年度6,417世帯で、被保険者世帯の23%にも達しています。そのうち所得が年間200万円以下の世帯が3,616世帯、56%を占めています。全国では滞納世帯(336万世帯)が全加入世帯の16.7%(厚労省平成27年6月現在)であり、中央区は高い比率と言えます。
今回の改定の基礎数値を見ると、特別区全体では、保険料賦課の対象となる一般分医療費と後期高齢者支援金は、合わせて35億円(0.5%)前年度より減額となっており、本来は保険料を引き下げできるはずです。ところが、高額療養費分が52億円も増額になり、これが保険料を押し上げる結果となっています。
23区特別区は、2013年度までは、保険料負担の軽減のために、高額療養費を保険の枠から外し、一般財源で対応してきました。しかし、2013年12月に、特別区長会で、広域化に向けて、高額療養費分の一般財源投入を縮小、廃止することを決め、2014年度から2017年度の4年間で、高額療養費を毎年4分の1ずつ、賦課総額に算入する方針を決定しました。方針通りで行けば来年度は100分の75を保険算入することになりますが、これでは負担額が大きくなることから、100分の67に縮小しました。それでも、23区で来年度は高額療養費の211億円が保険料に算定されて、保険料が引き上げられることになります。高額療養費の保険料算入は中止すべきです。
国民健康保険は、憲法25条に基づく社会保障の制度です。保険料の値上げは、負担能力に応じて税金や保険料を納入し、所得を再配分するという税金や社会保障の機能を弱めるもので容認できません。
国保加入者に、毎年毎年保険料負担の引き上げを求める道は破綻しています。国民皆保険制度が根底から破壊されかねない国民健康保険料の値上げを認めることはできません。
以上の理由で、日本共産党中央区議会議員団は、「議案第27号」に反対します。