20160304 区民文教委員会(付託)

「議案第23号中央区印鑑条例の一部を改正する条例」に対する反対意見

2016年3月4日 奥村暁子

「議案第23号中央区印鑑条例の一部を改正する条例」に対する反対意見を述べます。
 本議案は、民間事業者が設置する端末機により印鑑登録証明書の交付を受けることができるようにするものです。
 マイナンバー制度における個人番号カードの利用者証明書用電子証明機能を利用し、区の電子計算組織と電気通信回線で接続されたコンビニに設置されている民間事業者設置の多機能端末機から住民票の写し及び印鑑登録証明書の交付をうけられるようにするのが主な内容となっています。
 日本に住民票をもつ人全員に12桁の番号を割り振るマイナンバー制度は、徴税強化や社会保障費抑制を狙った政府の動機から出発したものだという問題に加え、個人情報漏洩やプライバシー侵害の危険性もつきまとうことが大きな問題となっています。
 1月から、一部の社会保障の申請、金融機関の窓口などで番号の提示を求められることになりましたが、全国で約300万人が番号の通知カードを受け取れておらず、実務を担う自治体はその対処に忙殺されています。
 中央区でも、昨年10月から番号の通知カードの発送が開始される予定でしたが、実際には11月からと1ヶ月遅れ、現在でも約6000通、おおよそ12,000人が通知カードを受け取れずにいます。自分の番号を知ることが制度運用の大前提だというのに、それすらできない人が膨大に残されていること自体、制度の矛盾です。
 希望する人にだけ発行される「個人番号カード」交付でもトラブル続きです。
 中央区では2月12日から始まった窓口での同カードの引き渡しですが、カード交付を全国的に管理する「地方公共団体情報システム機構」(J-lis)のシステムがたびたび不具合を起こし、多くの自治体と同様、中央区でも個人番号カード交付が一時できなくなる事態が起きています。
 システムが万全でないのに無理に実施を急いだ弊害が指摘されていますが、政府も機構も個人情報の管理システムの不具合の原因について詳細な理由を明かさないまま、カード交付を推進するのは大問題です。
 多くの住民は制度を熟知していないため、窓口での混乱も多く、マイナンバー関連詐欺が全国で相次ぐのも、制度が周知されていない実態に付け込まれたものです。
 2月19日に内閣府が発表したマイナンバー制度に関する世論調査の結果では、マイナンバーについて「内容まで知っていた」人は全体の28.3%にとどまっており、制度への理解が遅れている現状が浮き彫りとなっています。
 それにもかかわらず、安倍政権は、つくることが個人の任意である「個人番号カード」の宣伝・普及にばかり力を入れ、危険性はまともに伝えず、多くの国民の不安や疑問などは置き去りに、実施ありきでカードの利用拡大をすすめています。
 今回の印鑑証明書等のコンビニ交付もその一環ですが、印鑑証明書等をコンビニで取得できるメリットよりも、民間事業者が設置する端末機を通して個人情報が流出し、取り返しのつかない被害を拡大するデメリットの方がはるかに大きいと言わざるを得ません。
 また、顔写真、氏名、住所とマイナンバーが一体で記載されているカードをむやみに持ち歩き、個人情報が外部に漏れ出す危険を伝えずに、「こんなに便利」と幻想を広げてカード普及をあおることも看過できません。
 以上の理由から、日本共産党中央区議団は「議案第23号中央区印鑑条例の一部を改正する条例」に反対します。

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