2016年3月3日 加藤博司
日本共産党中央区議会議員団は、議案第十二号「中央区行政不服審査法施行条例」にたいしての、反対意見を述べます。
議案第十二号は、「行政不服審査法」の施行に伴い、区長の付属機関として、中央区行政不服審査会を設置するとともに、審理員に提出された書類の写し等の交付に係る手数料の額等を定めるものです。
行政不服審査法は、53年ぶりに抜本改正されたものです。手続きの一元化、審理の客観性・公正性の確保、審理の迅速化を図るとして、改正内容には、審理請求期間の延長や審理における質問権の付与、国民の裁判を受ける権利への制約として批判されてきた「不服申立て前置」の縮小・廃止などの改善点がふくまれています。しかし「審査請求の一元化」によって、原処分庁に対する現行の異議申し立てが廃止となります。
異議申し立てに代わって「再調査の請求」が出来るとしていますが「再調査の請求」は、簡便、簡略な手続きで要件事実の当否の確認をするもので、異議申し立てで出来ていた鑑定の要求、物件の提出要求、処分庁による検証、請求人または参考人の審尋は出来なくなります。
また提案された「中央区行政不服審査法施行条例」では、第3条で「区長の附属機関として、中央区行政不服審査会」を置き、第4条で「審査会は、学識経験を有する者のうちから区長が委嘱する5人以内の委員をもって組織する」とあります。区民からの「審査請求」に対して、区長が指名した審理員により審理員意見書(裁決案)が作成され、区長が委嘱する委員をもって、組織する「中央区行政不服審査会」が区長の諮問をうけ、区長に答申し、それを受けて区長が裁決することになります。これでは、審査の公平性・公正性の向上のために導入された審理員や第三者機関の公平性を担保することは出来ません。
審理の公正性を真に担保するのであれば、処分を行った同じ行政庁から完全に切り離され、独立して審理を行う資格と能力、十分な身分保障に裏打ちされた人材による機関が必要です。
以上の理由から、日本共産党中央区議会議員団は「議案第十二号 中央区行政不服審査法施行条例」に反対します。