来年度から国民健康保険制度が都道府県化となり、都議会で国民健康保険に関する条例が可決されましたが、これらの条例は、全国的に来年4月から実施される国保制度見直しに対応する東京都国保運営方針案に基づくものです。
国は、制度見直しを機に、区市町村が国保料、国保税軽減のために行っている一般会計からの繰り入れをなくし、徴収強化を進めるよう求めており、都条例も運営方針案も、国の方針どおりのものです。
都の運営方針では、社会保障である国民健康保険制度を「被保険者間の相互扶助」と位置づけ、区市町村の保険料軽減のための法定外繰入を「赤字」と規定し、「段階的、計画的に解消」するための「目標年次」の設定を求め、保険料の値上げを迫る内容となっています。
しかし一般会計からの繰り入れをなくすようなことをしたら、いまでも重い負担となっている保険料のさらなる大幅値上げにつながり、多くの都民、区民の生活破壊を招くことは明らかです。
一般会計の繰り入れがない場合、国の仮係数をもとにした都の試算では、都民1人あたり保険料は15万2,511円となり、2016年度11万8,172円と比較して1.3倍、3万4,339円もの値上げとなっています。中央区では一人あたり保険料は141,094円から17万1,592円に、1.2倍となる試算が示されています。
モデルケースでは、中央区で、年金収入300万円の65歳以上の1人暮らし高齢者の場合、2017年度18万8121円が、来年度には21万708円と2万2,587円、1.12倍の値上げになります。また給与収入500万の夫(42歳)と妻(41歳・収入なし)と、小学生の子ども2人の4人世帯の場合、2017年度55万7,537円が、来年度には66万637円と10万3,100円、1.18倍の値上げになります。
毎年繰り返される国保料の値上げで、「こんなに高いと生活できない」との悲鳴が上がっており、中央区の滞納世帯も2016年度で5,928世帯、21.26%にのぼっています。今でも高くて払えない国保料のさらなる値上げは、被保険者にとって負担能力の限界を超え、深刻な事態を招きかねません。
国民健康保険は、加入者の8割が所得の低い非正規労働者や無職者・年金生活者で占められているのに保険料は高いという構造的な問題を持っているもとで、このような保険料負担を押し付けることは、国保制度を根底から崩しかねない事態を招くことにもなります。
今こそ東京都も中央区も保険者として、あらゆる努力をして保険料の大幅値上げを抑え、軽減に踏み出すべきです。
都議会での審議の際、日本共産党都議団は、区長会、市長会や多くの都民が要望している、都の新たな責任にふさわしい独自の財政支援を東京都に求めましたが、知事はこたえる姿勢を示しませんでした。一方、保険料が急激に上昇する場合の激変緩和措置については検討する旨の答弁がありましたが、それにとどまらず、子どもの多い世帯に対する負担軽減や子どもにかかる均等割保険料の軽減をはじめ、保険料の負担増にならないための都独自の財政支援を実施するよう、中央区からも東京都につよく求めるべきです。
中央区議会におけるこの間の質疑で、「国庫負担、多子世帯への配慮、新たな財源措置や保険料負担軽減策の拡充などについて、かねてから、特別区としての国への要望や、全国市長会等を通じた要望の中でも上げている」との答弁があります。
よって、日本共産党中央区議団は、貴職に以下の点を申し入れます。
以 上